メタルギア ソリッド
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テキスト作成日:1998年9月16日 (Version 0.8)
メーカー 発売日 対応機種
コナミ 1998年9月3日 プレイステーション
現時点での評価
シナリオ 操作性 グラフィック サウンド 総合
シナリオ
「メタルギア ソリッド」は、低年齢層をバッサリ切り捨てた「大人向けのゲーム」である。

核兵器や遺伝子操作技術など既存のゲームではほとんど取り扱わなかった題材を持ち込み、しかもそれをかなり高いレベルで消化しきった(ように思われる)シナリオは非常に斬新だ。
それに加えて湾岸戦争やチェルノブイリ原発事故といった現実世界での出来事をうまく絡めることで、生々しいまでのリアリティを生み出すことに成功しているといってよいだろう。
また、登場人物達が織り成す複雑な人間模様、そして、一筋縄ではいかない展開など、良質の映画を見終えたような充実感がある。
確かな存在感を持ったサブキャラクターたち(敵も含めて)も実に魅力的だ。

と大筋では絶賛したいところなのだが、不満もある。
それはラスト近くでのナオミ・ハンターの台詞で、これが恐らくこのゲームのメインテーマであり、製作者が最も言いたかったことなのだろうが、実際に台詞として聞くとどうも鼻に付いてしまい、少し興ざめしてしまったのが残念なところだ。
この辺りはゲーム中で充分に語られていることだから、あらためて言う必要はなかったように思われる。
とはいえ、1本の映画や小説として見ても、シナリオの完成度はかなり高い。
つまりシナリオ重視のゲームだったということのようである。

あと、スタッフロール後に流れる声、あれは続編をも示唆しているのだろうが、何というか「やられたー」と思わされるうまい幕引きだった。

それにしても・・・デコイ・オクトパスって、いったい・・・(爆)。
操作性
シナリオも斬新だが、アクションゲームとしても斬新な作品だ。
単独潜入が目的なため、なるべく敵に見つからないように行動することが求められるからだ。
レーダーに写る敵や防犯装置の視界に注意し、敵地の奥深くへと侵入するということで、これまでにない緊張感を感じることができた。
ただ、こういうゲームシステムのためかアクションゲームとしての難易度は高い。
総プレイ時間は約15時間だったが、とにかく死にまくった(爆)。
1度も死なずに進めることができたら、もっと早く終わっていたに違いない。

で、確かに難しいのだが、ゲームバランスの取り方はうまいと思う。
理不尽に敵が強いというわけではなく、やられても回数をこなすことでコツが掴めてくるし、アイテム類はかなり簡単に手に入るので肝心なときに弾切れということもない。
敵地に単独潜入というのが簡単すぎるのも興ざめするし、難易度的にもいい感じに仕上がっているのではないだろうか。

あと書いておきたいのは、隠れて進むだけだと間がもたない、というか、さすがに敵側も侵入者がいることに気付いたのか(笑)、中盤以降では派手な戦闘が多くなってくるということだ。
ボス戦ではいろいろと趣向を凝らしており(戦車やヘリコプターとのバトルもある)、プレイしていて単調さは感じられなかった。
総合的に見て、ゲーム部分もきっちりと作りこまれているなといったところである。
グラフィック
はっきりいって、グラフィックの質も高い。
緻密なテクスチュアを張り込んだポリゴンで作られた映像は非常にリアルで、映画を見ているようなという表現がぴったりくる。

映像に関してはスタッフのこだわりが随所に感じられた。
カメラのブレを表現したような演出や最初の潜入シーンで使われている海中での揺れの演出など、ソフト的にもよく出来ていると思う。
で、ポリゴンデモを見ていて気になったのは、キャラの口パクがないこと。
リアルに作られているおかげで、こういう些細な点も気になるのだ。

そういえば、結構残酷げなシーンも多いんだよな、このゲーム。
赤い三角シール張らなくてよかったんだろうか・・・(爆)。
サウンド
逆に音楽はあまり印象に残らなかった。
といっても決してヘボイ曲ばかりというわけではなく、BGMに徹していたからだろう。
全体的に映画的な表現を目指したこのゲームではこれで正解だと思われる。
・・・敵に見つかった時のBGM(というかS.Eかな)はすごく印象に残ってるけど(爆)。

で、この項目で書いておきたいのは曲ではなく、声の方だ。
実力派声優による演技は本当に素晴らしかった(台本もうまかったけど)。
ヘボイ台本や下手な声優が演じてる場合のゲームボイスって、聞いてるこっちが恥ずかしくなるが、この「メタルギア ソリッド」ではストーリーを盛り上げるのに一役も二役も買っている重要な要素だった。
特にロイ・キャンベル(大佐)役の青野 武さんのベテランらしい渋い演技が光っていたように思う。

余談だが、ゲームオーバー時に大佐、メイ・リン、ナオミの三人が絶叫したりするのだが(音信が途絶えた通信機に向かって叫んでいるのだろう)いろいろと種類があって妙に芸が細かいのだ(笑)。
で、芸が細かいといえば、セーブ時のメイ・リンの台詞がたくさんあったり(中国のことわざをいろいろ教えてくれたりする)メリルと一緒に行動するシーンで、彼女に攻撃すると仕返しをされるし(笑)、首を絞めて殺したり銃で撃ち殺したりもできたり(死ぬ間際の台詞もちゃんとある)とか、よくここまで作ったよなぁと感心してしまう。
総合
全体的に見て、非常に質の高い作品に仕上がっているといってよい。
こういう作品は年に数本だろうというレベルである。
プレイ時間も短すぎず長すぎずといった感じで、値段分以上に楽しめたと思う。
決してライトユーザー向けの作品ではないが、ある程度ゲームをプレイされている方にはお勧めの1本だ。

この作品が売れることによって、こういう野心的なゲームがもっと登場すればいいのだが・・・。

ページ作成:蒼月 白羽