ONE〜輝く季節へ〜
(C) Tactics 1998
最終更新日:1998年7月23日
メーカー 発売日 対応機種 HDDインストール容量
Tactics 1998年5月29日 Windows 95 不明です(^^;
第1回 1998/06/08(06/10更新)
「ONE」の購入動機はふたつある。
元 Leaf の折戸 伸治氏が音楽で参加されているということ。
開発元である Tactics の前作「MOON.」が好評だったらしいということ、だ。

で、この「MOON.」、実は既に購入済みなのだが、ちょうど仕事が忙しい時期に発売されたので、買ったものの、昨日(7日)までパッケージを開けてもいなかった(^^;
「ONE」完クリ後にプレイしたいゲームのひとつではあるのだが・・・。
ちなみに、このゲームの購入動機も折戸氏のBGM目当てだ。

さて、それでは現時点でのゲームの印象を書いてみることにしよう。
現在の総プレイ時間は一時間半ほどで、ゲーム内時間では12月5日の朝である。

全体的なイメージとしては、Leaf の「To Heart」+「雫」といったところか。
基本的にほのぼのとした、いい雰囲気でゲームは進行しているが、時々主人公の心象風景(?)のような描写があり、不吉な何かを予感させるというか、これが何を意味しているのか、先が気になる展開だ。
主人公は(今のところ)嫌な感じはなく、この手の恋愛ADVによくあるタイプだと思う。
まぁ、感情移入もできそうな気はする。

現時点で登場済みのメインキャラは4人。

長森 瑞佳(ながもり みずか)
いわゆる「幼なじみ」系のキャラらしい。
「To Heart」のあかりにも通じるところがあると思う。
お約束通り、お節介焼きだ(笑)。
あかり同様、お気に入りになりつつあるキャラである(笑)。

七瀬 留美(ななせ るみ)
マニュアルにもある通り、
> 転校生で、その初日の登校中に曲がり角でぶつかるという、なんとも古典的な出会いを果たした
見た目はかわいいが、性格は・・・というタイプらしい。
しかし、性格が・・・という描写が(今のところ)あまりないし、結構かわいいと思うけど?(^^;
強いて言えば「To Heart」の志保だろうか。

川名 みさき(かわな みさき)
夕焼けの中、放課後の屋上で始めて出会う、一学年上(3年生)の先輩。
マイペースというか、ちょっとずれてるというか、「雫」の瑠璃子さん(なぜか、さん付け(^^;)を彷彿させる不思議な魅力のある娘だ。
> 盲目の先輩を前に、どう話しかけていいのか戸惑うオレに、先輩は悲しそうに呟いた。
> 「普通でいいと思うよ・・・」

(マニュアルより引用)
「To Heart」の来栖川先輩同様、穏やかな日差しの下で、一緒にのんびりできたらいいなって思ったりして(^^;
・・・俺って、年上の人が好みなんだろうか・・・(爆)。

里村 茜(さとむら あかね)
「心を閉ざしている」系(なんだ、そりゃ(笑))の娘のようだ。
「To Heart」の琴音かな。

ファーストインプレッションとしては、結構いい感じだと思う。
これからどうストーリーが進んでいくのか、楽しみだ。
第2回 1998/06/09(文章作成:06/10〜12、06/16更新)
9日も、8日と同様に2時間ほどプレイしたら、これを更新するつもりだったのだが、すっかりのめりこんでしまい、既に途中で止めることなどできなくなっていた。
・・・いやぁ、マジでおもろいわ、これ(爆)。

長森 瑞佳
ちょっと影が薄くなってしまった。
相変わらず朝は一緒に登校しているが、多分主人公も感じているように、俺の中でそれが日常となっている。
毎朝繰り広げられるドタバタ劇はとても微笑ましい。
で、長森のクレープを主人公が隙を見て食べ、彼女もそれをやりかえすというエピソードがあるが、これって異性の幼なじみだけに許された、おいしいシチュエーションなのでは?(^^;
やっぱり幼なじみっていいよな〜(爆)。

七瀬 留美
長森以上に影が薄くなってしまった。以上(爆)。

川名 みさき
印象に残ったエピソードがある。
学校で、借りた本を返しにいく先輩に出会い、一緒に図書室に行った。
親しげに図書委員と話す先輩に、知り合いなのかと尋ねたらそうじゃないと言う。
> 「私って、目が見えないからね」
> 「だから相手のことを良く知ろうと思ったら、話をするしかないんだよ」
> 「言葉と言葉を交わして、それで相手のことを分かって、そして私のことも分かってもらう」
> 「私にはそれしかないからね・・・」

(ゲーム中のテキストを引用)
人と話すのが好きだという先輩に、また一歩惹かれたような気がした。
言葉と言葉を交わすことで、お互いのことを理解する、か。
まぁ、当たり前のことかもしれないけれど、その言葉はなんだか俺の心に染みたのだ。
視力を失った先輩は、人とのコミュニケーションを恐れたり避けたりせずに、むしろ積極的に他人に近づこうとしている。
そういう言い方は彼女に失礼なのかもしれないけど、俺はそんな先輩がとても愛しく思えるのだ。
・・・先輩のことをもっと知りたいよ。

里村 茜
相変わらず茜との距離は開いたままだが、以前より少しだけ近くなれたような気がする。
もっとも、彼女がそれを聞いたなら、こう言うのだろうが。
「嫌です」「迷惑です」(^^;

上月 澪(こうづき みお)
新しく登場したキャラ。
食堂で背中にラーメンをぶっ掛けられるという出会いを果たした(笑)。
言葉にハンディがあり、常にスケッチブックを持ち歩いている。
行動が危なっかしくて見ていられないのは、「To Heart」のマルチのようだ。
演劇部に所属している。

椎名 繭(しいな まゆ)
登場せず。

まずは、ファーストプレイ終了である。
中盤以降、例の心象風景(?)のシーンの不吉な予感が強くなっていく。
自分はどうなるのか?その存在が消えてしまう?
どういった結末を迎えるのか気になってとにかく先を進めたが、結果はバッドエンドだった。
・・・何というか、難解で不可解なエンディングだ。

澪を見守るために、俺も演劇部に入部し一緒に舞台の練習をしていたはずなのに、俺(主人公)の存在が少しずつ失われていく。
最初は、演劇部の仲間たちの記憶から。
そしてクラスメートにも忘れられ、澪からも・・・。
なぜ?どうして?
主人公はその理由を理解しているようだが、俺には全くわからない。

結局、演劇部の舞台を見届けた直後、俺は現実世界から消えてしまうのだ。
「永遠」とはいったい・・・?
心象風景(?)に何度も登場する「彼女」は誰?

数々の疑問が残ったままなのは、バッドエンドだからだろうか?
とにかく、セーブデータをロードしてゲームを再開した(^^;
が、失敗。またしてもバッドエンド。
もう一度ロードして、違う選択肢を選んでみた。

澪がいつも大切に持ち歩いている、ボロボロのスケッチブック。
そうか。そうだったのか。
それは、幼い日の約束。

そして、演劇部の舞台。
部室に残ったスケッチブックに書き残すお別れの言葉。
残り少ない俺の最後の瞬間を目前にして、自分の本当の想いに気が付く。

ONE。
たったひとつ、大切なもの。それは・・・澪。

再び戻ってくると約束して、俺はこの世から消滅した。
そして、再会。
ラストを締めくくる澪の台詞、
> 『背中、あったかいの』
流れ始めるBGM。
いろんな想いが胸に溢れて、俺は思わず泣いてしまった。

やっぱり不可解なハッピーエンドだった。
疑問は相変わらず残り、しっくりこない。
でも、俺をぐいぐいと「ONE」の世界に引き込んでくれたシナリオはとても魅力的だった。
そして、切なさで胸一杯にさせられたBGMも秀逸である。
今も「ONE」のCDをBGMにしてこれを書いているが、少し気持ちをそちらに集中させれば、印象的なシーンを思い起こすことができるのだ・・・。

初日は結構いい感じって書いたが、はっきり言ってお勧めの一本だ。
というか、まだ買ってない人は買え(爆)。
第3回 1998/06/15(文章作成:06/16)
セカンドプレイを終えた。
今回は、バッドエンド・・・というか、時間切れエンドだった。
「To Heart」で誰もが一度は経験したであろう「雅史エンド」のような「住井エンド」を期待したのだが(爆)、結局平凡な日常のまま、物語は幕を閉じた。

椎名 繭
セカンドプレイにして、ようやく登場。
澪をさらに幼くしたような(実際に幼い?)キャラだ。
フェレットのみゅーが唯一の友人だったらしいが、・・・フェレットって、このゲームをプレイするまで聞いたことなかったんですけど・・・(^^;
結局、学校の制服を調達することが出来ずに、そのままフェードアウトしてしまった。
ごめんね、繭(^^;

グラフィックについて
「ONE」の購入動機の大半が音楽だったことは1回目に書いたが、まぁ、正直な話、グラフィックについては好みの絵柄ではなかったのだ。
どのキャラも最初に見たときは印象が薄く、髪の色と髪型が違うだけで全然書き分けられてないやんと思っていたのだが、プレイを進めていくうちに見解が変わった。
とにかく彼女たちは表情が豊かなのだ。
照れたような微笑み、想いのこもった表情で見つめる眼差し、優しい笑顔、どれも魅力的で生き生きとしていて、俺はすっかり魅せられてしまっていた。
そして、思わず息を飲むような美しい背景。
特に、時々織り込まれる心象風景(?)のシーンでの青空や夕焼けの鮮やかさは、シナリオの幻想的な雰囲気をいっそう引きたてるのに成功しているのではないだろうか。

BGMについて
やはり「ONE」を語るのに、BGMは外せない。
例えば「海鳴り」は日常の中に潜んだ非日常を思わせる曲で、「永遠」はその名の通り永遠と、その世界に身を置く気だるさを感じさせる曲だ。
この2曲はどちらもがんま氏(折戸氏?)の作曲であり、「ONE」の裏のテーマ曲といってもいいのかもしれない。
「雫」や「痕」のときもそう思ったのだが、統一されたイメージで作られた音楽はそのゲームの世界観を言葉では言い表せない部分でプレイヤーの心の中に確立させ、シナリオやグラフィックから感じられる作品全体の雰囲気をより強い形で印象付けられるように思うのだ。

というわけで、今回はここまでにしょう。
次のサードプレイでは、茜か繭狙いでいこうと思っている。
第4回 1998/06/25(文章作成:06/30、07/01)
・・・雨。
降りしきる雨に打たれながら、来るはずのない人をただ待ち続ける。
雨の中で人を待つとき、いいようのない焦燥感にかられるのはどうしてだろう。
見なれた景色でさえも薄暗い雨のフィルターに包まれてしまうと、まるで見知らぬ土地にひとり取り残されたような不安を感じるからだろうか。

それでも彼女は待ち続けた。
雨の降る日はいつも、「あいつ」と最後に別れたあの場所に立って。
もしかしたら「あいつ」が戻ってくるかもしれない?
わずかばかりの希望にすがって今日も待ち続けるの?
・・・俺は、それが悲しかった。
彼女の頑なな想いが、いつまでも彼女を縛って離さないから。

> 「お前は・・・ふられたんだ」

ときには、厳しい言葉が人を救うこともある。
きっと自分の元に戻ってきてくれると信じて、でもやっぱり期待は裏切られて。
それでも、失ったことをどうしても認めたくなくて、今日も待ち続ける。
前に進むこともなく、楽しかった昔に戻れるわけでもなく、同じことをただ繰り返すだけ。
彼女の時間は、あの日から止まってしまったのだ。

だけど、新しい出会いが呪縛から彼女を解き放った。

失われた笑顔を取り戻した彼女をとても愛しく思う。
それまでは全く接点のなかった、単なるクラスメイトのひとりだった彼女と、雨の降りしきるあの日の朝、あの場所で偶然出会ってから、しだいにその存在を強く意識し始めたんだ。

やがて、あまり感情を表に現さない彼女の表情の中にも、いろんな感情が見え隠れしていることがわかるようになった。

いつもと変わらない日常の中にこそ、本当の幸せはあるのだろうか。
このまま、この穏やかな日々がずっと続けばいい。
そう思っていた。
・・・そう思っていたのに。

退屈な日常が嫌になり、永遠を求めて「あいつ」は消えたという。
そして俺もまた、この世から・・・消え失せた。


・・・物語のラストはハッピーエンドだった。
一度は完全に姿を消した主人公だったが、茜のことを想う心が強かったのか、翌年の春に再会を果たすことができたのだ。

再び訪れた日常。
スタッフロールの曲が流れ始めたとき、張り詰めていた緊張がようやく解け、俺は安堵していた。
で、スタッフの名前を眺めながら感動の余韻に浸ることもできたのだが、どうも漠然とした何かが残っているような気がしてならなかった。
「あ〜、おもしろかった。それにしても、感動的だったなぁ」では終われない、何かが。
それは、茜のストーリーを読み終えた後からずっと感じている鈍いせつなさとでもいえばいいのだろうか。
まるでどしゃぶりの雨の中に身を置いた後に、服に染み込んだ雨水が身体にまとわりついているような感じだ。
でも、それは決して不快なものではない。

物語のひとつの鍵である「雨」。
降りしきる雨と、とめどなく溢れる茜の涙。
胸が一杯になるほどのせつなさを感じているときに、さらに追い討ちをかけるようなせつなさに包まれて、俺はすっかり言葉を奪われてしまった。
それは、最初に茜のストーリーを読み終えてから、かなり時間が経ってしまった今でも変わらない。
はっきりいって、ここまで書くのにかなりの没文章を生み出してしまっている(^^;

俺が、この茜の物語について、感じたことをちゃんと整理して書くことができるようになるまでには、まだしばらくの時間が必要なようだ。
第5回 1998/07/20(文章作成:07/21、23)
暗闇。恐怖。
真っ暗な図書室を歩いてみてはじめてわかる、光のない世界に身を置くことの心細さ。
人がどれだけ目で見た情報に頼って生きているのか、そしてだからこそ、その目に2度と光を感じることができないと知ったときの絶望感は、正直なところ想像もつかない。

みさき先輩と過ごした数ヶ月。
そんなに大きな事件はなかったけれど、日常の中でのちょっとした先輩の言葉や仕草が、時折俺の心に深く染みたのはなぜだろう。
とても重くて辛いハンデを背負って、それでも強く生きているから?
そうかもしれない。
(ゲーム中では)年上なのに、どこか可愛いなって思える人柄に惹かれたから?
うん、確かにそれもある。
・・・きっと、それらをすべて含めた「川名みさき」が、とても素敵な女性だからだろうね。

> 「約束ってね、結果じゃなくて、守ろうとしたかどうかが大切だと思うんだよ」

みさき先輩にそう言われると、ちょっぴり説教くさいこの言葉も、素直にそうだねって頷けるんだよ。
そして、ちょっと自分のことを振り返ってみて、ちくちくと胸が痛くなるんだ。
約束というほどのことじゃないけど、「〜するからね」って、軽く交わしたいくつかの「約束」がある。
でも、タイミングを逸してたり、まぁ、いろいろと忙しくて手が回らなくて、今日までそのままにしてしまってた。
もちろん、忘れたわけじゃないし心の片隅には残ってるから、時々思い出しては今日こそはやらなきゃ、って思ってはいるんだけど、なかなかね・・・って、これは言い訳だけど(^^;
とにかく、そんな小さな約束を、今さら遅いやんってあきらめてしまったらダメだよね。
やっぱり、今からでも、ひとつずつでも守ろうとしないとダメだよなって思ったんだ・・・。

心の片隅に引っ掛かったままのいくつかの約束をちゃんと果たすことができたら、みさき先輩、「それでいいんだよ」って、また無邪気で優しい笑顔を俺に見せてくれる?

・・・シナリオ後半。
主人公が、みさき先輩のことが好きだと気が付き始めたころ、またしてもこの世での「オレ」の存在が薄れていくのだ。
10年近く家族同然に過ごしてきたおばさんだけでなく、兄弟以上に親しかったはずの長森にまでも忘れられて、いよいよオレの居場所はなくなっていく。

> 「・・・その時の私じゃなくて、もっと前、○○君が私のことを覚えていたときの私がどれだけ○○君との思い出を作ったかだと思うよ」
> 「思い出いっぱいあったら、きっと○○君が私のこと思い出してくれるよ」


オレがみさき先輩との大切な思い出をたくさん作れたから、きっと先輩だけは、オレのことを忘れないでいてくれたんだよね・・・。

そして、卒業式の翌日、オレは初めてみさき先輩と学校以外の場所で待ち合わせをした。

先輩にとっての学校は、とても思い出深くて、しかも特別な場所だった。
心のスクリーンに記憶という映写機で写し出すことができる光景だけが、彼女にとっての馴染みの場所だったから。
勝手知ったる場所だからこそ、生き生きと走り回ることもできたのだ。

逆に見知らぬ場所へ足を踏み入れることは、恐怖以外の何物でもない。
そこは決して光の届かない暗闇だから。
でも、そんな恐怖をオレと一緒に乗り越えようとしてくれた先輩がとても愛しくて・・・。

それなのに、どうしてオレは消えてしまわなければならないのか。
オレは全てを理解してその運命を受け入れたが、俺にはどうしても納得がいかない。
みさき先輩を一人残して消滅したときには、怒りすら覚えていたし、ハッピーエンドを迎えたあとも、嬉しさよりもどうしようもないやるせなさだけが残っていたのだ。

・・・3度目のクリアということと、すごくおおまかなストーリー展開は共通だということで、さすがにラスト近くの意外な展開にあっけにとられるということはなくなったが、そのかわりに焦燥感が一層強くなったような気がする。
先は見えているのに、どうしようもないのが悔しくてたまらないというかね。
必ず一度はヒロインをひどく傷付けることになるやるせなさが、彼女たちが魅力的であればあるほど、ハッピーエンドを見たあとでもしばらく離れなくなるのだ。
まぁ、つまりそれは、キャラを巧く立たせることに成功したシナリオの妙だといえるのだろうけど。
しかし、俺ってば、見事にシナリオライターの掌の上で踊らされてるよなぁ(自爆)。

ページ作成:蒼月 白羽